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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

路地のそとは月が明るかった。角から四、五軒さきの質屋の土蔵のまえには、一挺の駕籠が下ろされて、そこには二人の駕籠舁と先刻の武士らしい男が立っていた。半七はそれを見とどけて、今度は表の格子からはいって来た。そうして、黙って女のまえに坐った。女は受けあごの細おもてに薄化粧をして、眼の涼しい、鼻のたかい、見るからに男まさりとでもいいそうな女振りで、髪は御殿風の片はずしに結っていた。

「御免くださいまし」

半七は何げなく挨拶すると、女は黙って鷹揚に会釈した。

「わたくしはこのお亀の親戚の者でございますが、うけたまわりますれば、こちらの娘を御所望とか申すことで。なにぶんにも婿取りの一人娘ではございますが、それほど御所望と仰しゃるからは、御奉公に差し上げまいものでもございません」

お亀はびっくりして半七の顔を見ると、彼はつづけてこう云った。

「勿論、あなたの方にもいろいろの御都合もございましょうが、いくら音信不通のお約束でも、せめて御奉公の御屋敷様の御名前だけでも伺って置きたいと存じますのが、こりゃあ親の人情でございます。どうぞそれだけをお明かし下さいましたら……」