Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
市之助も勿論その祝儀を出した。その二人分の六百文を七蔵はみんなふところに押し込んでしまって、更に喜三郎にむかって山祝いの酒を買えと強請りかけると、喜三郎は素直に承知した。
市之助はさすがに武家気質で、仮りにも供と名の付くものに酒を買わせる法はないというのを、七蔵は無理におさえつけて、万事わたくしに任せてくれと云った。主人の振舞ってくれる酒では羽目をはずして飲むわけにはゆかないので、彼は喜三郎をいたぶって、今夜も存分に飲もうという目算であった。その目算通りに、喜三郎は山祝いを快く引きうけて、宿の女中に酒や肴をたくさん運ばせた。
「今夜はまずめでたいな」と、市之助は云った。
「おめでとうございます」と、供の二人も頭をさげた。
強いられて市之助もすこし飲んだ。七蔵は止め度もなしに飲んだ。いい頃を見はからって、喜三郎は他愛のない七蔵を介抱して主人のまえを退がった。主人は奥の下座敷の六畳に寝て、供のふたりは次の間の四畳半の相部屋で寝た。その夜なかに喜三郎は裏二階の客二人を殺して、どこへか姿を隠したのであった。
「さては盗賊か」と、市之助はおどろいた。
七蔵も今更におどろいた。