Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
番太郎の家は大抵自身番のとなりにあって、店では草鞋でも蝋燭でも炭団でも渋団扇でもなんでも売っている。つまり一種の荒物屋ですね。そのほかに夏は金魚を売る、冬は焼芋を売る。八幡太郎と番太郎の違いだなどと冗談にも云われるくらいで、あんまり幅の利いた商売じゃありませんが、そんな風に何でもするので、なかなか金を溜めている奴が多うござんしたよ」
その番太郎のとなりに小さい筆屋があって、その女房が暮れ六ツ(午後六時)過ぎに急に産気づいた。夫婦掛け合いの家で、亭主は唯うろうろするばかりであるので、お倉はすぐに取り上げ婆さんを呼びに行った。そんな使いをたのまれて幾らかの使い賃を貰うのが、番太郎の女房の役得であった。お倉は気丈な女で、殊にまだ宵の口といい、この頃は町内の警戒も厳重なので、かれは平気で下駄を突っかけて駈け出した。取り上げ婆さんの所は四、五町もはなれているので、お倉はむやみに急いで行った。今夜も霜陰りという空であったが、両側の灯はうす明るい影を狭い町に投げていた。すぐに来てくれるように取り上げ婆さんに頼むと、婆さんは承知して一緒に来た。
婆さんはもう六十幾つというので、足がのろかった。