Japanische Klassiker mit Furigana
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まきのとみたろうじじょでん
牧野富太郎自叙伝
牧野 富太郎
Lesen Sie 牧野富太郎自叙伝 (まきのとみたろうじじょでん) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.045 Zeichen · 185 Bildschirme
もしも父が永く存命であったら、必然的に種々な点で干渉を受くるのみならず、きっと父の跡を襲いで酒屋の店の帳場に坐らされて、そこで老いたに違いなかったろうが、父が早くいなくなったのでその後は何んでも自分の思う通りに通って来たのである。今思うて見ると、私ほど他から何の干渉も受けずにわが意思のままにやって来た人はちょっと世間には少なかろうと思う。
上のように天性植物が好きであったから、その間どんな困難な事に出会ってもこれを排して愉快にその方面へ深く這入り這入りして来て敢て倦む事を知らず、二六時中ただもう植物が楽しく、これに対していると他の事は何もかも忘れて夢中になるのであった。こんな有様ゆえ、時とすると自分はあるいは草木の精じゃないかと疑う程です。これから先も私の死ぬるまでも疑いなく私はこの一本道を脇目もふらず歩き通すでしょう。そうして遂にはわが愛人である草木と情死し心中を遂げる事になるのでしょう。
しかしまことに残念に感ずることは、私のような学風と、また私のような天才(自分にそう言うのはオカシイけれど)とは、私の死とともに消滅してふたたび同じ型の人を得る事は恐らく出来ないという事です。