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Japanische Klassiker mit Furigana

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まきのとみたろうじじょでん

牧野富太郎自叙伝

牧野 富太郎

Lesen Sie 牧野富太郎自叙伝 (まきのとみたろうじじょでん) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.045 Zeichen · 185 Bildschirme

Aozora Bunko

可憐の妻

時ニ明治三十年又二年己亥一月中澣

結網学人 牧野富太郎 識

然しこの書籍も私の生活を救うことにはならなかった。

可憐の妻

その間、私の妻は私のような働きのない主人にも愛想をつかさず、貧乏学者に嫁いできたのを因果だと思ってあきらめてか、嫁に来たての若い頃から芝居も見たいともいわず、流行の帯一本欲しいといわず、女らしい要求一切を放って、陰になり陽になって絶えず自分の力となって尽してくれた。

この苦境にあって、十三人もの子供にひもじい思いをさせないで、とにかく学者の子として育て上げることは全く並大抵の苦労ではなかったろうと、今でも思い出す度に可哀そうな気がする。

こうして過ぎゆくうちにも松村教授との※(「目+癸」、第4水準2-82-11)離のことがあって、私の月給はなかなか上げてもらえなかった。箕作〔佳吉〕学長は私に「君の給料も上げてやりたいが、松村君を差置いてはできない」といわれた。

この苦境の中にあって私は決して負けまいと決心し、他日の活躍に備え潜勢力を貯えるのがよいと考え、論文をどしどし発表した。しかし金銭の苦労はともすれば、研究を妨げ、流石に無頓着な私も明日は愈々家の荷物が全部競売にされるという前の晩などは、頭の中が混乱してじっと本を読んでもいられなかった。