Japanische Klassiker mit Furigana
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まきのとみたろうじじょでん
牧野富太郎自叙伝
牧野 富太郎
Lesen Sie 牧野富太郎自叙伝 (まきのとみたろうじじょでん) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.045 Zeichen · 185 Bildschirme
佐川の領主――深尾家は主権者だが、その下に多くの家来がいて、これらの武士は町の一部に住み、町の大部分には町人が住んでいた。そして町の外には農家があった。近傍の村の人達は皆この町へ買物にきた。佐川の町には色々の商人がいて商売をしていた。佐川は大変水のよいところなので酒造りに適していたため、数軒の酒屋があった。町の大きさの割には酒家が多かった。
この佐川の町にかく述べる牧野富太郎が生まれた。文久二年四月二十四日呱々の声を挙げたのである。牧野の家は酒造りと雑貨店(小間物屋といっていた。東京の小間物屋とは異なっている)を経営していた。家は町ではかなり旧家で、町の中では上流階級の一軒であった。父は牧野佐平といって、親族つづきの家から牧野家へ養子にきた人である。牧野家家付の娘――久寿は、すなわち私の母である。
佐平と久寿の間にたった一人の子として私は生まれた。私が四歳の時、父は病死し、続いて二年後には母もまた病死した。両親共に三十代の若さで他界したのである。私はまだ余り幼かったので父の顔も、母の顔も記憶にない。私はこのように両親に早く別れたので親の味というものを知らない。