Japanische Klassiker mit Furigana
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まきのとみたろうじじょでん
牧野富太郎自叙伝
牧野 富太郎
Lesen Sie 牧野富太郎自叙伝 (まきのとみたろうじじょでん) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.045 Zeichen · 185 Bildschirme
哀しき春の七草
私は校長の某氏が良い部屋に収まり、私を次の間に入れ平然たるのを見て、世には良く出来た人間と、良く出来ぬ人間とのあることを、深く感じたのであった。
哀しき春の七草
中村先生はまた『植物図説』刊行のため、毎月何百円かを私のために支出して下すった。その結果、出来た図は八十枚程あるが、不幸その後中村先生は、二豎の冒すところとなり、大正十三年二月二十一日溘焉として長逝された。
先生病重しの報を聴き、私は先生を慰めんものと、正月の一日鎌倉に赴き、春の七草を採集し、これに名を付し、籠に盛って差上げたところへ先生は非常にこれを喜ばれ、正しい春の七草をはじめて見たといわれ、七草粥にする前に暫く床の間に置いて楽しまれたということである。先生の長逝は、私の事業にとって一大打撃であったが、それよりも私の最もよき理解者、心の友を失った悲しみは耐え難いものがあった。先生は最後迄私のことを気に懸けていて下すって、先生の後継者たるべき校長の某氏を呼んで遺言された時、「牧野を援助するように」と呉々も言われたそうであったが、某氏はしかし私に対しては極めて冷淡であり、援助もやがて途絶えてしまった。