Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
青年は小切手帳を見ると、胸のポケットから万年筆を抜いて彼に渡した。
「一万円かっきりでいいのです」
「サア、一万円。だが、明日の朝でなければ現金に変らない。それまでに、僕の犯罪が発覚するかも知れぬが」
「それは、運命です。兎も角もやって見ましょう。明朝の九時、これを現金にすれば、すぐ奇蹟の場所へ御連れします」青年は腕時計を見て、「今二時半です。あと六時間余りの辛抱です。ナアニ、お酒を飲んでいれば直きたってしまいますよ」
だが、まさかバーで夜を明かす訳にも行かぬので、怪青年の案内で、愛之助は吉原近くの木賃宿へ泊った。想像程汚い部屋ではなかったけれど、悪酔いの苦痛の上に、何かしらムズ痒くて、疲れ切っていながら、寝入ることが出来ず、ウトウトとすれば、何とも云えぬ恐ろしい夢にうなされ、我と我が叫声に目を覚まして、飛起きると、身体中不気味な汗に、ベットリ濡れているといった調子で、つい朝までまんじりともしなかった。
配達を待ち兼ねて、新聞を持って来て貰ったが、見るのが怖く、といって見ないではいられなかった。思切って社会面を開いたが、開いたかと思うと、いやな虫けらででもある様にポイと枕元へ放り出した。