Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
中には、気早にも、もう素裸体になって、汚らしい水に飛び込む、野蛮人みたいな腕白小僧達もあった。
大滝の巾十間、落差二丈もあるだろうか、巨大なビイドロの如き落口、白浪相噛む滝壺、四隣を震わす鼕々の音、小さいながらも、滝というものの美しさを凡て備えていた。高が水門と油断をして、滝壺へ舟を近づけ、つい命を奪われるものも、年に一人や二人はある。滝壺は非常に深くて、その底に何やら魔のものが棲んでいるなどと、あらぬ怪談さえ生れて来るのだ。
だが、土地の子供は河童だ、危険な箇所を心得ていて、恐れもしないで、泳ぎをやる。で、その時、一つの小舟から、クルクルと素裸体になった十五六歳の我鬼大将が、真黒な身体を逆さにして、ドボンと滝壺近くの深味へ飛込んだのである。
「待ってろよ。いいものを探して来てやるから」
少年は舟の上の仲間に、そう呶鳴って置いて、海豚の様に身をくねらせて、水底深くもぐって行った。舟遊びの人が落した財布などが、時として底の泥深く埋まっていることがあるからだ。
彼は水中に目を見開いて、底へ底へと下って行った。海底の様に藻の林はないけれど、その代りに、木切れ藁束ドロドロの布屑、犬とも猫とも知れぬ小動物の白骨などが、濁った水底にブヨブヨと蠢いている様は、海などよりも一層不気味に物凄かった。