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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

美禰子さんの並外れた慈悲心は、同族間ばかりでなく、新聞雑誌のゴシップを通して、広く世間一般の話題にも上り、亡き伯爵夫人は、この気違いめいた令嬢の美徳を、たった一つの苦労にしていた程である。

若し、大河原伯爵家に、怪賊白蝙蝠の乗ずべき隙があったとすれば、この令嬢の奇癖が唯一のものであったかも知れない。それ程この大政治家の生活には、油断も隙もなかったのだ。そればかりではなく、白蝙蝠の一味は、従来のやり口でも分る通り、(例えば、偽の品川が態々本物の品川の住宅に逃げ込んで、寸分違わぬ二つの顔を並べて、明智小五郎を揶揄した如き)強いて奇想天外な手段を選び、その奇怪なる着想を見せびらかす、所謂犯罪者の虚栄心を、たっぷり所有していたのである。

で、ある日のこと、伯爵令嬢美禰子さんが、本邸の書斎で、物思いに耽りながら(というのは許嫁の俊一氏が当時関西の方へ旅行をしていたからで)うっとり窓の外を眺めていると、広い庭園の森の様な木立ちの奥から、フラフラと現われて来た、奇妙な人物があった。

一見、令嬢と同じ位の年頃の女であったが、明かに乞食以上のものではないらしく、身に纏っているものといったら、着物というよりはボロ、ボロと云うよりは、糸屑といった方がふさわしい代物であった。