Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
後姿と声だけが奥さんに似ている別人なんだよ。僕は随分苦労をしてその女を探し出した。あるカフェの女給なんだがね」
「証拠を見せたまえ」愛之助はまだ信じ切れなかった。
「よろしい。証拠はちゃんと用意してある。待ちたまえ、今見せるから」
品川はテーブルの上の呼鈴に指をかけた。どこかでブザーの音がした。部屋の一方のドアが静かにひらいた。そして、ドアの向うにスラッと背の高い女が、うしろ向きに立っているのが見えた。
「アッ、芳江……」愛之助はガタンと椅子から立上って、その方へ駈け出そうとした。
「君、よく見たまえ。あれは芳江さんじゃない。……ホラ、ね」
女はゆっくりこちらに向きを変えて、しずしずと部屋の中へは入って来た。後姿は芳江とそっくりであったが、顔はまるで違う。愛之助の愛妻とは似てもつかぬ、しかしこれも亦一個の美人であった。
愛之助は緊張がとけてガックリと椅子に倒れこんだ。
女はその間近かまで近づいて来た。そして、さもしとやかに一礼すると、愛くるしい靨を見せて、恰好のよいルージュの唇で、嫣然と頬笑むのであった。