Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
まさか屋根裏に窓のない部屋があろうなどと誰が想像するものか。しかも二階への通路は前述の通り用心深く出来ているのだ。
「これならば、全く安全ですね」
青木がお世辞を云うと、彼に従って上って来た主婦は愛想よく微笑しながら、囁き声で、
「でも、万一のことがあるといけませんから、ここに秘密戸がつけてあるのでございますの」
と云って、一方の板壁のどこかを押すと、ギイと音がして、そこがくぐり戸みたいに向うへ開くのだ。
「この中に低音電鈴が仕掛てございますの。若しものことがありました時は、下からそれを鳴らしますから、ジーという音が聞えましたらば、御召物や何かを持って、この中へ隠れていて頂きます、イイエ、そんなことがある筈はございませんけれど、万々一の用心ですわ」
青木は不必要と思われる程の用心深さに、ホトホト感心してしまった。
「では少々御待ち下さいませ、じきに御見えなさいますでしょう。それから、この縄梯子は上から引いて、上げ蓋を元通りになすって置いて下さいませ。御見えになりましたら、下からさっきの様な咳払いを致しますから」
主婦はお茶を入れると、そう云い残して下へ降りて行った。