Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
両者を兼ねるもの古今東西に其例が乏しくはないのだ。按うにこの幽霊男は、軽微で上品な(変な云い方だが)マゾヒズムと、兇暴なサジズムとを兼備し、その上に、戦慄すべきラスト・マーダラアであったに相違ないのだ。
ふと気がつくと、松の木の根本で、変な咳払いの様な音がしていた。そして、愛之助を仰天させたことには、その音が刻一刻高く大きくなって来ると共に、犬の鳴声である事が分った。悪魔は用心深く番犬を飼っていたのだ。どこかへ行っていたその番犬が帰って来て、不思議な樹上の人物を嗅ぎつけたのだ。見ると、幽霊男は、その声に気づいた様子で、こちらを振向き、恐怖の表情を真正面に見せて、窓の方へ歩いて来る。
「もう駄目だ」と思ったけれど、兎も角も逃げられる丈けは逃げて見ようと、愛之助はいきなり地上目がけて飛び降りた。飛び降りると弾力のある温かい肉塊が、非常な勢でぶつかって来た。存外大きな奴だ。
愛之助は暫くその動物を持て余していたが、とうとう致命的な一撃を食わして、一目散に表門へと走った。
だが、その時はもう遅かった。
門へ来て見ると、ワイシャツの腕まくりをした、例の男が、先廻りして、ちゃんと待ち構えていた。