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Japanische Klassiker mit Furigana

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すさのおのみこと

素戔嗚尊

芥川 竜之介

Lesen Sie 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.917 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

あった。が、彼がそこへ来た途端に、彼女は品良く身を起すと、一ぱいになった水甕を重そうに片手に下げたまま、ちらりと彼の顔へ眼をやった、そうしていつになく、人懐しげに口元へ微笑を浮べて見せた。

彼は例の通り当惑しながら、ちょいと挨拶の点頭を送った。娘は水甕を頭へ載せながら、眼でその挨拶に答えると、仲間の女たちの後を追って、やはり釘を撒くような燕の中を歩き出した。彼は娘と入れ違いに噴井の側へ歩み寄って、大きな掌へ掬った水に、二口三口喉を沾した。沽しながら彼女の眼つきや唇の微笑を思い浮べて、何か嬉しいような、恥かしいような心もちに顔を赤めていた。と同時にまた己自身を嘲りたいような気もしないではなかった。

その間に女たちはそよ風に領巾を飜しながら、頭の上の素焼の甕にさわやかな朝日の光を浴びて次第に噴き井から遠ざかって行った。が、間もなく彼等の中からは一度に愉快そうな笑い声が起った。それにつれて彼等のある者は、笑顔を後へ振り向けながら、足も止めずに素戔嗚の方へ、嘲るような視線を送りなぞした。

噴き井の水を飲んでいた彼は、幸その視線に煩わされなかった。しかし彼等の笑い声を聞くと、いよいよ妙に間が悪くなって、今更飲みたくもない水を、もう一杯手で掬って飲んだ。