Japanische Klassiker mit Furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lesen Sie 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.917 Zeichen · 86 Bildschirme
十六
と声をかけた。若者は慌てて、顔を挙げた。が、彼はこの風流な若者が、彼の崇拝する素戔嗚の敵の一人だと云う事を承知していた。そこでいかにも無愛想に、
「何か御用ですか。」と返事をした。
「ちょいとその勾玉を見せてくれないか。」
若者は苦い顔をしながら、琅※(「王+干」、第3水準1-87-83)を相手の手に渡した。
「君の玉かい。」
「いいえ、素戔嗚尊の玉です。」
今度は相手の若者の方が、苦い顔をしずにはいられなかった。
「じゃいつもあの男が、自慢そうに下げている玉だ。もっともこのほかに下げているのは、石塊同様の玉ばかりだが。」
若者は毒口を利きながら、しばらくその勾玉を弄んでいたが、自分もその楡の根がたへ楽々と腰を下すと、
「どうだろう。物は相談と云うが、一つ君の計らいで、この玉を僕に売ってくれまいか。」と、大胆な事を云い出した。
十六
牛飼いの若者は否と返事をする代りに、頬を脹らせたまま黙っていた。すると相手は流し眼に彼の顔を覗きこんで、
「その代り君には御礼をするよ。刀が欲しければ刀を進上するし、玉が欲しければ玉も進上するし、――」
「駄目ですよ。その勾玉は素戔嗚尊が、ある人に渡してくれと云って、私に預けた品なのですから。