Japanische Klassiker mit Furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lesen Sie 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.917 Zeichen · 86 Bildschirme
と、軽く念を押しただけであった。若者はやはり間の悪るそうな顔をしながら、
「ええ、確かに渡しました。しかし御返事の所は――」とか何とか、曖昧に言葉を濁していた。それでも彼は渡したと云う言葉に満足して、その上立ち入った事情なぞは尋ねようとも思わなかった。
すると三四日経ったある夜の事、彼が山へ寝鳥でも捕えに行こうと思って、月明りを幸、部落の往来を独りぶらぶら歩いていると、誰か笛を吹きすさびながら、薄い靄の下りた中を、これも悠々と来かかるものがあった。野蛮な彼は幼い時から、歌とか音楽とか云うものにはさらに興味を感じなかった。が、藪木の花ののする春の月夜に包まれながら、だんだんこちらへやって来る笛の声に耳を傾けるのは、彼にとっても何となく、心憎い気のするものであった。
その内に彼とその男とは、顔を合せるばかりに近くなって来た。しかし相手は鼻の先へ来ても、相不変笛を吹き止めなかった。彼は路を譲りながら、天心に近い月を負って、相手の顔を透かして見た。美しい顔、燦びやかな勾玉、それから口に当てた斑竹の笛――相手はあの背の高い、風流な若者に違いなかった。彼は勿論この若者が、彼の野性を軽蔑する敵の一人だと云うことを承知していた。