Japanische Klassiker mit Furigana
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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
Lesen Sie 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) von 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.254 Zeichen · 226 Bildschirme
船が門司近くの海に来ると、書店の主人は今まで興じていた世間話を急に切上げにかかった。
「先生。私に一つのお願があるんですが……。」
「願い。――」徳富氏は急に更まった相手の容子に眼を光らせた。
「実は今度の御紀行の出版は、是非私どもの方に……。」
その言葉を押えつけるように、徳富氏は大きな掌面を相手の鼻さきでふった。
「待って下さい、その話は。私暫く考えて返事しますから。」
徳富氏はこういい捨てておいて、大跨に船室の方へあるいて行った。
ものの一時間も経つと、徳富氏はのっそりとK氏の待っている室へ入って来た。
「Kさん。あなたさっき門司からの帰りには、薄田君を訪ねるといってましたね。」
「ええ、訪ねます。何か御用でもおありでしたら……。」
「じゃ、御面倒ですが、これをお渡し下さい。」徳富氏はふところから手紙を一通取出した。「それから、あなたには……。」
K氏は何かを待設けるもののように胸を躍らせた。
「あなたにはいいものを上げます。私の原稿よりかもずっといい……。」
「何でしょう。原稿よりかもいいものというと……。」
K氏は顔一ぱいに微笑をたたえた。それを見下すように前に立ちはだかった徳富氏は、宣教師のようにもの静かな、どこかに力のこもった声でいった。