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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

いきり立つ三吉。

「頼むからそいつは止してくれ」

「何を言やがる」

振りもぎった三吉、もういちど槌は勢いよく振りあげられます。

その争いは一瞬にして片付きました。船頭の三吉が予て仕掛けをしてあったらしく、船底の栓が他愛もなく抜けるのと、卯八の必死の力が、荒れ狂う三吉を舷から川の中へ押し転がすのと、ほとんど一緒だったのです。

ドッと奔騰する水。

「あッ」

卯八は今抜き捨てた栓を捜しましたが、咄嗟の間に三吉が川の中へ抛り込んだものか、それは見当りません。自分の身体を持って行って、穴から奔注する水を防ぎましたが、そんな事では、なんの役にも立たないことが、すぐ解ってしまいました。

船の中の狂乱は、一瞬ごとにその旋回度を増して、山水に空廻りする水車のような勢い。

「あッ、そうだ」

卯八は料理のために用意した出刃庖丁を取出すと、碇綱をブツリと切りました。あとは、艪に寄って、馴れないながら一と押し、二た押し。

水浸しになった涼み船は、それでも白鬚の方へ、少しずつ少しずつは動いて行きます。

時々ドッとあがる笑い声、それも次第に納まって、乱舞も大方凪いだ頃、船は向島の土手の下、三間ほどのところへズブズブと沈んでしまいました。