Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme
若殿時之助様御命を縮めたいと思うものは、当屋敷内に、継しい奥方お勇様の外にあるはずはない――とおっしゃる」
「…………」
「御重態の床から起き上がり、奥様を御呼付け、弓の折れを持っての御折檻じゃ」
「…………」
平次も驚きました。かりそめに読んでやった謎の言葉が、それほどの騒ぎを起そうとは思わなかったのです。
「御主人様の御考えも一応は尤もながら、奥様は、御同族の中にも聞えた貞節、二十年この方、手塩にかけてお育て申上げた、若殿時之助様の御寿命を縮めたいと思われるはずもない。拙者も必死とお止め申したが、御老体の一徹さ、何としてもお心が解けない」
「…………」
「二日二た晩に及ぶ折檻の後、奥様には、よくよく思い定めたものと相見え、昨夜、――深更、見事に生害してお果てなされた」
「えッ」
平次は水をブッ掛けられた心持でした。
「たった一人の御跡取り時之助様の御寿命を呪われ、殿御腹立ちも尤も至極だが、継しき仲を疑われて生害して身の潔白を示された、奥様の御心中もお悼わしい。今朝からお嬢様若葉様始め、召使どもの歎きで、お屋敷の中は滅入ったような心持だ。それに、遺書の立派なお言葉に、殿も今さら後悔の御様で、――なんにもおっしゃりはしないが、黙って我慢していられるだけにお気の毒だ」