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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

ここで平次は大変なものを見付けました。小さい手筐の中にいつぞや平次に見せた紅皿の外に、もう一つ使いかけの紅皿があって、それには指でなく、筆の跡があり、その紅を使ったらしい軸の短い紅筆までが添えてあるではありませんか。

「これは?」

平次はお松の面前に突き付けました。

「あッ、――私は、私はなんにも存じません」

お松は青くなって立ち竦みます。後ろからは虎視眈々たるガラッ八の眼。

紅皿は半分以上剥げて、筆はかなり上等の細筆、軸は半分ほどのところから切って捨ててありますが、穂の根の方が薄黒くて、元は墨に使った筆を、洗って紅筆にした様子です。

「お前のではないと言うのか」

「なんにも知りません。今朝までここにそんなものは入っていなかったんです」

あまりの事に、お松は立ち上がる力もなく、畳の上にヘタヘタと崩折れて、恐怖に見開いた眼が紅皿に吸い付いております。

「親分」

八五郎は後ろから、この娘の肩へ手を掛けそうにしました。

「待て、八」

平次は紅筆の穂を散らして、鼻の先へ持って来てちょっと嗅ぎましたが、

「この人じゃない」

大きくかぶりを振るのです。

「親分」

四方をねめ廻す八五郎。