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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

一日中で一番陽気の旺んな時、例えば正午の刻(十二時)といった時、四方を開け放ち、皆様を銘々のお部屋に入れ、火の元の用心までも厳重に見張って、心静かに奏したなら、鬼神といえども乗ずる隙がないことでしょう」

一色友衛は、芸道の執心のために、どんな犠牲でも忍び兼ねない様子でした。

「いかにも尤も、――それほどまでに言うなら、この秘曲の封を解いて、お前にも聴かせ、この私も心の修業としよう」

春日藤左衛門はとうとう折れました。この話の始まったのはちょうど辰刻半(九時)。それから準備を整え、正午刻(十二時)少し前には、妻玉江、娘百合、あやめ、下女お篠、下男作松、内弟子鳩谷小八郎を、それぞれの部屋へ入れ、主人春日藤左衛門は、一色友衛とたった二人、奥の稽古部屋に相対して、三十年前友衛の父一色清五郎の封じた、禁制の賦の包を解きました。

中から出たのは、平凡な能管の賦が一冊、それを膝の前に開いて春日藤左衛門は見詰めました。

「よいか」

「はッ」

一色友衛は五六尺下がって、畳の上に両手を突きます。

虻が一匹、座敷を横切って庭へ飛去ると、真夏の日はカッと照り出して、青葉の反映が、藤左衛門の帷子や、白い障子を、深海の色に染めるのでした。