Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme
「…………」
「こいつは武家の履くものだよ、伝吉」
「そんなのが履いてみたかったんです、親分」
伝吉は泣出しそうでした。
「この雪駄がお前のだとすると、気の毒だがお前をここで縛らなきゃならない、それも承知か」
平次は立ち上がって、懐の十手を取出しました。が、その時、
「親分」
飛込んで来たのは閑斎の娘のお澪でした。
「あ、お澪さん」
「お前、そんな事を言って縛られて行く気かえ」
いきなり伝吉に取縋った娘――お澪の純情な姿を、平次の十手も引分け兼ねました。幇間医者の石沢閑斎に、どうしてこんな娘が生れたことでしょう。海坊主が弁天様を生んだような造化の気紛れを平次はまざまざと見せられるような気がしたのです。
「お澪さん、こいつはわけのあることだ、こんな所にいて掛り合いになると悪い、早く帰っておくれ」
伝吉はそう言いながら、証拠の雪駄をお澪の眼から隠そうとするのです。
「お澪さん、――お前この雪駄を知っているだろうな、――」
平次は伝吉の後ろから雪駄を取出して、お澪の眼の前に突きつけます。
「えッ」
「伝吉は自分のだって言うが」
「伝吉さんのじゃありません、伝吉さんはそんな雪駄なんか履くものですか」