Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
ということになった。トランク、ふろしき包み、その他を、旅館の爺やと女中さん二人が、振分けにして担いで行く。こっちは、追いかけるかたちである。思うに、同様な例は、きょうが初めてではないらしい。
プロペラ船の本宮村まで、新道なら四十町、旧道だと三十町ほどだという。十町稼ぎに、旧道の山坂をえらぶ。熊野杉の密林がバシャバシャとわれらの番傘に雫をそそぐ。歩けば歩けるもので、ぼくとてそう一同におくれはとらない。石楠花の杖がここでも役にたったことひと通りではない。「おうういっ」と、旅館の爺や。また先へゆく女中さん二人も「オオーイ」と、谷をへだてた新道へ向かって声をはりあげる。新道の方にも、たれか、旅館の男が急いでいるらしい。もしあとからバスが通ったら、さっそく、つかまえるつもりかもしれない。
「もう、いけない。一ぷくしましょう」まっさきに、ぼく弱音をはく。「もう少し、もう少し」と、旅館の爺やは、片手で、ぼくの腰を押し上げながらベンタツする。たれかほかに参った顔はいないかと前後を見まわす。こんなときいるのかいないのか分からないのが嘉治さんである。「健脚ですなあ、どうも」