Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
た。山路、野路を一人行くよりも、長いだけにこのほうがいっそう心細い生活であったことと思われる。
汽車の八方に通じている国としては、日本のように雪の多く降る国も珍しいであろう。それがいたる所深い谿をさかのぼり、山の屏風を突き抜けているゆえに、かの、
黄昏や又ひとり行く雪の人
の句のごとく、おりおりは往還に立ってじっと眺めているような場合が多かったのである。停車場には時としては暖国から来た家族が住んでいる。雪の底の生活に飽き飽きした若い人などが、何という目的もなしに、鍬を揮うて庭前の雪を掘り、土の色を見ようとしたという話もある。鳥などは食に飢えているために、ことに簡単な方法で捕えられた。二、三日も降り続いた後の朝に、一尺か二尺四方の黒い土の肌を出しておくと、何の餌も囮もなくてそれだけで鵯や鶫が下りてくる。大隅の佐多とか土佐の室戸とかの、茂った御崎山の林に群れてさえずりかわしていたものが、わずかばかり飛び越えるともうこのような国に来てしまうのである。
われわれの祖先がかつて南の海端に住みあまり、あるいは生活の闘争に倦んで、今一段と安泰なる居所を求むべく、地続きなればこそ気軽な決意をもって、流れを伝い山坂を越えて、次第に北と東の平野に降りて来た最初には、同じ一つの島がかほどまでに冬の長さを異にしていようとは予期しなかっ