Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
総体に何を不幸の原因とも決めてしまうことができなかった。たとえば山の麓に押しつぶされていた家で、馬まで無事であったのもある。二階に子供を寝かせておいて湯に入っていた母親が、風呂桶のまま海に流されて裸で命をまっとうし、三日目に屋根を破って入ってみると、その児が疵もなく生きていたというような珍しい話もある。死ぬまじくして死んだ例ももとより多かろうが、こちらはかえって親身の者のほかは、忘れていくことが早いらしい。
しかし大体において、話になるような話だけが、くり返されて濃厚に語り伝えられ、不立文字の記録は年々にその冊数を減じつつあるかと思われる。この点は五十年前の維新史も同じである。自分は所々の荒浜に立ち止まって、故老たちの無細工なる海嘯史論を聞かされた。これまた利害関係がなお多いために、十分適切とは認められぬが、一般の空気はやはり明治の新政と等しく、人の境遇に善悪二様の変化のあったことを感じさせているようであった。
もっと手短に言えば金持は貧乏した。貧乏人はなくした者を捜すと称して、毎日毎日浦から崎を歩き回り、自分の物でもないものをたくさんに拾い集めて蔵っておいた。