Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
個人には回復というものがある。町にはただ変化あるのみである。甲の町では一年越しの草原に、思い思いの仮屋が寂しく伴を待っている。焼けて六年になる乙の都会においては、赭禿の土蔵ばかりがわずかに堅実の観を保っている。街区整頓だの屋上制限だの、人の後から案出することは何でも皆こうだが、乱雑を加え狼狽の状を顕著にする以外に、いささかも積極的の仕事をしておらぬ。自分はぐらぐらとする三階の柱により、気の毒な下界を眺めつつ、一夜の宿泊をさえ悔いた夕べもあった。
それにつけても世田米は感じのよい町であった。山の裾の川の高岸に臨んだ、とうてい大きくなる見込みのない古駅ではあるが、色にも形にも旅人を動かすだけの統一があるのは、幸いに新時代の災害にかからなかったおかげである。板葺の、たっぷりとした妻入の家で、いずれも障子の立つ二階に手摺を付け、屋の棟には勝男木のなごりと見える単純な装飾が、道路に面した一端だけに一様についてある。表から見ればりっぱな町屋であるが、住民の多数は実は馬を飼う農夫であるためにこれに相応する支度がちゃんと家の他の部分にはしてある。私は早天に一の民家の脇を通って川原に下り、冷たい水に葛の花の流るるをくみ、また萎まぬ対岸の月見草の野を望み、それからまた第二の家の横手を帰ってきたが、貧富の差はあっても家の作り