Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

まず息を切らせて拭き掃除をしてくれる。今夜は初めて帰る仏さまもあるらしいのに、しきりにわれわれに食わす魚のないことばかりを歎息している。そう気をもまれてはかえって困ると言って、ごろりと囲炉裏のほうを枕に、臂を曲げて寝ころぶと、外は蝙蝠も飛ばない静かな黄昏である。

小川が一筋あって板橋がかかっている。その板橋をからからと鳴らして、子供たちがおいおい渡って行く。小子内では踊りはどうかね。はア今に踊ります。去年よりははずむそうで、といっているうちに橋向こうから、東京などの普請場で聞くような、女の声がしだいに高く響いてくる。月がところどころの板屋に照っている。雲の少しある晩だ。

五十軒ばかりの村だというが、道の端には十二、三戸しか見えぬ。橋から一町も行かぬ間に、大塚かと思うような孤立した砂山に突き当たり、左へ曲がって八木の湊へ越える坂になる。曲がり角の右手に共同の井戸があり、その前の街道で踊っているのである。太鼓も笛もない。寂しい踊りだなと思って見たが、ほぼこれが総勢であったろう。後からきて加わる者が、ほんの二人か三人ずつで、すこし永く立って見ている者は、踊りの輪の中から誰かが手を出して、ひょいと列の中に引っぱり込んでしまう。