Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

東国の平野ならば霰か雹かと思うような、大きな音を立てて降る。これならばまさしく小夜時雨だ。夢驚かすと歌に詠んでもよし、降りみ降らずみ定めなきといっても風情がある。しかるに他のそうでもない土地において、受売りしてみても始まらぬ話だが、天下の時雨の和歌は皆これであった。連歌俳諧も謡も浄瑠璃も、さては町方の小唄の類にいたるまで、滔々としてことごとく同じようなことをいっている。また鴨川の堤の上の出て立つと、北山と西山とにはおりおり水蒸気が薄く停滞して、峰の遠近に応じて美しい濃淡ができる。ははア春霞というのはこれだなと初めてわかった。それがある季節には夜分まで残って、いわゆるおぼろおぼろの春の夜の月となり、秋は昼中ばかり霧が立って、柴舟下る川の面を隠すが、夜は散じて月さやかなりとくるのであろう。いわば日本国の歌の景は、ことごとくこの山城の一小盆地の、風物にほかならぬのであった。ご苦労ではないか、都にきても見ぬ連中まで、題を頂戴してそんな事を歌に詠じたのみか、たまたまわが田舎の月時雨が、これと相異した実況を示せば、かえって天然が契約を守らぬように感じていたのである。