Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
その間を縫うて繁茂する葵葉の朝顔などは、おそらくは中ごろ民家の園から逃げて出たものではなく、われわれがまだこの花を栽えて賞美しなかった時代から、すでにこの付近の天然を占拠したこと、たとえば熊襲・隼人のごときものであったろう。昼顔なども今は畠に入り路傍に出で、やつれた可憐の姿を見せているが、それはただ埋没の災を避けんとして、海から逃げ去る後影であろうと思う。
浜に這う植物としては、葉の表が平らですべりよく、枝に力があって花をささえるもの、たとえば蔓荊のごときが永く生殖した。ただし手に摘めば花の香は強烈に過ぎ、木の形も荒くれているためにわずかに浦人が実を採って枕に入れるくらいで、通例はこれを顧みるものがないのだが、中央部以西の海岸の風景には、松を除けばこの物が最も多く参与する。三十年前に自分がこの花を初めて知ったのは、三州の伊良湖岬であった。千鳥のことに多い砂浜で、広々と東南の大洋に面しているゆえに、薄暮が最も幽寂であった。この間に微風に乗じて、わずかに香気を送ってくるものが蔓荊で、土地ではこれをハマボウと呼んでいた。浜を匍うこと時として一丈に余り、小高い所から見下ろすと優美なる砂上の画であった。