Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
いつの頃に誰がそんなことをしておいたのか、別になんにも言い伝えがないので、ちっとも判りません。一体それが二歩三歩の値のあるものかどうだか、それすらも手前には判らないのです。」
売る人はあくまでも正直で、なにもかも打ち明けて話しました。
それだけのことを聞かされて、その仮面を受取って、父は吉原の家へ帰って来ましたが、あくる日になってよく見ると、ゆうべ薄暗いところで見たのとは余ほど違っていて、かなりに古いものには相違ないのですが、刀の使い方もずいぶん不器用で、さのみの上作とは思われません。これが三歩では少し買いかぶったと今さら後悔するような心持になったのですが、むこうが二歩でいいと言うのをこちらから無理に買上げたのですから、苦情の言いようもありません。「こんなものは仕方がない。まあ、困っている士族さんに恵んであげたと思えばいいのだ。」
こう諦めて、父はその仮面を戸棚の奥へ押込んでおいたままで、自分でももう忘れてしまったくらいでしたが、今度いよいよ吉原の店をしまうという段になって、いろいろの書画骨董類を整理するときに、ふと見つけ出したのが彼の仮面で、もちろんほかの品々と一緒に売払ってしまうはずでしたが、いざという時になると、父はなんだか惜しくてならぬような気になったそうです。