Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme
もう、暑い寒いの感覚はないらしい。
はっはっと喘ぎながら、
「おう、不知火が見える。筑紫の不知火が――」
と口走った。たましいは、すでに故郷へ帰っているとみえる。
並みいる医師や、二、三の高弟は、じっとあたまをたれたまま、一言も発する者はない。
侍女に導かれて、お蓮様と萩乃が泣きながらはいってきた。
覚悟していたこととはいえ、いよいよこれがお別れかと、萩乃は、まくらべ近くいざりよって、泣き伏し、
「お父さま……」
と、あとは涙。お蓮の眼にも、なみだ――いくらお蓮さまでも、こいつは何も、べつに唾をつけたわけじゃアない。
女性というものは、ふしぎなもので、早く死んでくれればいいと願っていたお爺さんでも、とうとう今あの世へ出発するのかと思うと、不意と心底から、泪の一つぐらいこぼれるようにできているんです。
よろめきながら、峰丹波がはいってきた。
やっと意識をとり戻してまもないので、髪はほつれ、色蒼ざめて、そうろうとしている。
「先生ッ!」
とピタリ手をついて、
「お心おきなく……あとは、拙者が引き受けました」
こんな大鼠に引き受けられては、たまったものじゃない。