Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
「わしは、今なら、どうかなると思つとる。たゞ、老後のことだ。結局、足腰立たんようになつて、お前たちに厄介をかけたくないのさ」
京野等志は、ぐつとつまつた。そんな心配はいらぬ、どうか厄介をかけてくれと、まともに言い切る勇気はなかつた。それは、事実、感情の上からは、両親の老い先を不安なく送らせるのが、当然の義務のようにも思われるのだが、それをあからさまに、そう表現する照れ臭さを、どうすることもできないのである。
相手がよろこぶとわかつていることを、それが肉親の間であるがために、どうしても素直に口に出して言えぬもどかしさを、彼は、今はじめて経験したわけではない。
しかし、彼は、しばらく、無言のまゝ、じつと父の筋ばつたうなじのあたりを見つめていたあげく、やつと口を開いた――
「お父さん、僕たち、きようだいのうちには、あんまり孝行のできる奴はいないようですが、それにしても、お父さんの方で、先に見切りをつけてしまつちや、ダメですよ。僕たちには、お父さんやお母さんが、こうあつてほしいつていう願いがあるんです。それは、僕たちのためでもあり、お父さんやお母さんのためでもあるんです。