Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
京野等志は、それでも、機会があれば、彼女を遂に死にまで導いた相手の男というのに会つてみるつもりであつた。会つてどうするという目的はべつにない。たゞ、それによつて、彼女の死に別の意味が加わるかも知れぬと、かすかな望みをかけているばかりである。話に聞けば、遺書があるという通知を出したのに、いつまでも顔を見せず、警察の呼び出しでやつと腰をあげたという男、その警察の取調べに対しても、ひたすら自分に責任のないことを主張し、最近ではまつたく手が切れていたと逃げ、火葬場にはもちろん、遺骨を運んだ実家へも、てんから寄りつこうとしない男、そういう男の、四年にわたる彼女への愛情が、どんなものであり、この事件が真に彼に与えた影響がどの程度であるかを、彼は、是非ともたしかめてみたいのである。
そういう欲求を一方にはもちながら、いざ、その機会を作るということが、なかなか、億劫であつた。
そして、忘れるともなく、そのことはついのびのびになつていた。
彼にとつて、目下、焦眉の急とすべきは、父の世話にならずに、なんとか食つていける道をさがすことである。以前の失敗にこりず、彼は、またぞろ、仕事を探し歩いた。