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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

きまりきつた勤めはいやだという彼の気焔を、真面目に取りあげてくれるものはなかつた。

親友の南条己未男でさえ、吐きだすように、

「そんなら、輪タク屋にでもなれ」

と、言つた。

彼は、ふと、気持が動いた。

「うむ、輪タク、結構。それにしたつて、手蔓はいるだろう」

「親方みたいな奴がいるにちがいないよ。面倒なことはないさ、じかに当つてみろよ」

「当つてみてもいゝが、そこまで腹をきめたら、別に輪タクには限るまい。もうちつと、スリルのある商売はないか?」

「輪タクも、やりようじや、スリル満点らしいぜ。おれの中学時代の同級で、鎌倉にいるのが、土地じやまずいからつて、銀座で稼いでる奴がいるよ。こないだ、ひよつくり会つて、面喰つたよ」

南条己未男は、彼の就職について、とんと心配はしていないらしい。ほんとに輪タクをやると言つても、べつだん、驚かぬにきまつていた。それほど、二人のつきあいは、長く、一切の忠告や干渉を廃し合つて、うまく続いて来たのである。

京野等志は、もう、この者に見切りをつけて、ひそかに、輪タクで、一夜、彼をとてつもないところへ引つ張つて行つてやろうと空想した。