Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
長閑な響きではあっても、やはり生き生きとした華やかな心持ちではなかろうか。奈良の昔の鐘は諸行無常の響きを持っていたとは考えにくい。
伎楽の類は非常な勢いで流行した。皇宮の近いこの土地ではその物音を耳にする機会も多かったであろう。踏歌の類も朝堂の饗宴に盛んに行なわれた。すべてこれらの歓楽の響きを尼寺にあって聞いていた人々の心には、実際はどんな情緒があったのか。歓楽の過冗な時代には、歓楽から目をそむけて真に清浄な生を要求する女が出てくるものである。わが滅罪の寺にもこれらの心からな尼たちが住んでいたのか。あるいは伎楽や読経や観仏やなどによる美的法悦と真に解脱によって得られる宗教的法悦とを合一して考えている当時の「新しい女」が住んでいたのか。それはわれわれには興味の多い問題である。が、しかしそれを知る手がかりがない。
法華寺の本尊十一面観音は二尺何寸かのあまり大きくない木彫である。幽かな燈明に照らされた暗い廚子のなかをおずおずとのぞき込むと、香の煙で黒くすすけた像の中から、まずその光った眼と朱の唇とがわれわれに飛びついて来る。豊艶な顔ではあるが、何となく物すごい。