Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
道はまだ大変だった。山を出て里へ出たり、それらしいと思う山をいつか通り過ぎてまた山の間にはいったり、やがてまた旧家らしい家のあるきれいな村へ出たり、しかも雨あがりの道はひどいでこぼこで、俥に乗っているのもらくではなかった。畑と山との美しい色の取り合わせを俥の上で賞めていたわたくしたちも、とうとう我慢がしきれなくなって、Z夫人のほかは皆その狭い田舎道に下り立った。そうして若葉の美しい櫟林のなかや穂を出しかけた麦畑の間を、汗をふきふき歩いて行った。寺の麓の村まで来ると、Z夫人も例外ではいられなくなって、小石のゴロゴロしたあぶなっかしい急な坂を、――それもどうかすると百姓家の勝手口へ迷い込んで行きそうな怪しい小道だったが、――歩かねばならなかった。本道の方は崖が崩れてとても通れまいということだったのである。しかし意気込んでかかったわりには急な坂は短く、すぐに峰づたいの坦々たる道へ出た。それで安心して歩いていると、この道がまたなかなか尽きそうもなくなった。赤松の矮林の間には相変わらずつつじが咲いている。道傍に石地蔵の並んだ所もあった。大きい竹藪の間に人家の見える所へも来た。