Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Lesen Sie 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 151.766 Zeichen · 303 Bildschirme
「わたし、暗くても見えるけれど、あなた、見えないでしょう。手で、さぐりなさい。さあ、これパン、これ牛肉、これジュースです。」
牛肉のかんづめは、ふたがあけてありました。ジュースも、口金がとってありました。
「あら、パンね、牛肉ね。それから、ジュースのびんね。うれしい。あたし死ぬほど、おなかが、すいてるのよ。」
くらやみの中で、手づかみで、パンや、牛肉を、ムシャムシャ食べる音、びんの口から、ジュースをのむ音が、しばらくつづきました。
「おいしいですか。」
「おいしいわ。」
「ミドリちゃんは、おじさんが好きですか。」
「ええ、好きだわ。でも、パパもママも、おにいさまも好きだわ。どうして、こんな暗いところにいるの? おうちへ帰りたいわ。」
「もう、じきに帰れます。ここにいると、パパがくるのです。それまでおじさんとふたりでいるのです。」
「ほんとに、パパくるの?」
「ええ、ほんとです。」
そして、しばらくだまっていたあとで、また電話のような声が、聞こえました。
「ミドリちゃん、さびしいですか。」
「ううん、さびしくないわ。おじちゃんがいるんだもの。」
「わたしも、ミドリちゃんがいるからさびしくない。