Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、この木戸は、すんなりとあけられない理由も充分にあります。今宵のような物騒な晩であることと、主人の居間近くであるということと、女一人の部屋であるということと、それらの用心は、お君としては或る場合には身を以ても守らねばならないのでありました。それ故お君は当惑しました。

しかし、ムク犬は主人の当惑に同情する模様がなくて、その縁に引いた打掛の裾をくわえてグイグイと引きました。その挙動は、主人をして退引させぬ手詰の催促に見えます。ここに至るとお君はどうしても、すべての危険を忘れてムク犬を信用せねばならなくなりました。よしこの木戸をあける瞬間において、いかなる危険が予想されようとも、ムク犬の勇敢はそれを防いで余りあることを信ぜずにはいられません。

「待っておいで、いま燈火を点けるから」

お君は、やがて雪洞に火を入れて庭下駄を穿きました。打掛の裾をかかげて庭に下り立って、ムクを先に立ててほど離れた木戸口の錠前を外すべく、静かに靄の中の闇を歩いて行きました。

ムク犬を先に立てて、お君はついに木戸の鍵を外してしまいました。用心して戸をガラリと開いて、

「どなた」