Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
その一隊の人が、ズッシズッシと通って行く光景はなんとなく穏かでありません。昨日あれからどこまで行ったのか、甲府までは行くまいけれども、勝沼あたりまでは行って、それからまた引返して来たものに相違ないのであります。
いかに同行の人を求めたいからと言って、あの一行の中へ駆け込むわけにもゆかないから、お松はそれの通り過ぐる間は隠れるようにして、それが遠く離れたと思われる時分まで、わざとこの店に隙をつぶしていると、そこへ頬冠りをした逞しい馬子が一人、馬を曳いてやって来ました。
「御免なさいよ」
と言って頬冠りを取った馬子の面は日に焼けて髯だらけであるけれども、厳めしい面で、眼つきが尋常の馬子とは違うように見えます。眼つきが違うといっても、悪い方に違うのではありません。がんりきの百蔵は身なりを小綺麗にしているにかかわらず、なんとなく小気味が悪い男であるけれど、いま入って来た馬子は、容貌が怖ろしげなのにかかわらず、一見して気味の悪いという感じをお松に与えないで、そのお粗末な服装の中に、どこやらに親しみのある人品が備わるように見えないでもありません。無雑作に入って来たけれども、そこにお松のあることを見て、丁寧に小腰をかがめました。