Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

役人は、またお松にしたように、そのいずれより来りいずれへ行くやを尋ねました。また兵馬に向って身分と姓名とを尋ねました。その時、兵馬は答えました。

「甲府勤番支配駒井能登守の家中、和田静馬と申す者」

「ナニ、貴殿が和田静馬殿と申される?」

役人は眼を丸くしました。その上に念を押して、

「お間違いではござるまいな、しかと貴殿が和田静馬殿か」

「御念には及び申さぬ、元、駒井能登守の家中にて和田静馬と申すは、拙者のほかにはござらぬ」

「ところが、その和田静馬殿が二人ござるから、物の不思議でござる」

「なんと言われる」

「しかも、同じくこの上野原の宿屋へ今日泊り合せた客人に、同じく駒井能登守殿の家中にて、和田静馬と名乗る御仁がござる」

「これは不思議千万、その者はいずれの宿にいて、何を苦しんで拙者の名を騙るのか」

「それはただいま、我々が確かに会うてその名乗りを承って参った、当所の若松屋というのに、今も尋常に控えておらるる」

「はて怪しい、してその者の年頃は」

「貴殿よりは一つ二つお若うござるかな」

「それほどの年にしては大胆な。ともかく、それは心あってすることか、或いはまた旅路のいたずら心から、わざと拙者の名を用いるものか、これへ同道して突き合わせて御覧あればすぐにわかること」