Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
市五郎がその後、しばしば伊太夫の許へ出入りする間に、伊太夫に向って一つの内談を持ち込みました。内々で伊太夫が何というか、それを聞いてみたいような口吻であります。
それは意外にも縁談のことであります。
「お嬢様もお年頃でございますから」
と言い出した時に、さすがに伊太夫は苦い面をしました。
その苦い面を見て、市五郎も話しにくいのを強いて一通り話してしまうと、伊太夫の苦い面が少しく釈けかかってきました。
「お組頭で神尾主膳殿……」
と言って腕組みをしました。伊太夫の顔色が和いだのを見て、市五郎はその目をそらさぬように、
「もとはお旗本のお歴々でございます、お使い過ぎでこちらへおいでになったくらいでございますから、苦労人でございます、人間が捌けておいでなさいます、物の酸いも甘いもよくわかっておいでなさるお方でございます、もう御当家のこともお嬢様のことも万々御承知の上で……」
と言って媒人口らしい口を利きました。さてはこの男の縁談というのは神尾主膳へ、この家の娘のお銀様を縁づけようという取持ちであることに疑いもない――人もあろうに神尾主膳へ、そして女もあろうにお銀様を――市五郎の内心は計りがたないものであります。