Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうぞ御免あそばしませ」

「お銀どの、そなたはこの刀にお見覚えはござらぬか」

「ええ」

「この刀……」

「ええ、このお刀に、わたくしが、どう致しまして」

「それ故に篤と御覧なされいと申すのじゃ、怖がっておいでなさるばかりが能ではない、気を落着けて御覧なされい」

「それに致しましても、どうしてわたくしが、このお刀を存じておりましょう」

「もしそなたが知らぬならば、そなたの家の幸内という者が知っている、その刀がこれなのじゃ」

「ええ?」

「これは伯耆の安綱という古刀中の古刀、名刀中の名刀じゃ」

「ええ! これが伯耆の安綱?」

「打ち返してよく御覧なされい」

ここに至ってお銀様は、一時恐怖の念がいずれへか飛び去って、眼の前に突きつけられた伯耆の安綱の刀に、ずっと吸い寄せられました。お銀様がその刀をじっと見つめている時に、神尾主膳は片手で、近くにあった朱塗の大盃を取って引寄せ、それに片手でまた酒をなみなみと注ぎました。

右の手では、やはりお銀様の前へ伯耆の安綱の刀を突き出して、左の手では朱塗の大盃を取り上げました。刀を見ているお銀様と、盃の中に湛えられた酒とを等分に見比べていました。