Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

「待てと申すに」

竜之助の声は、寒水が磐の上を走るような声でありました。お銀様はゾッとして立ち竦んでしまいました。見ればこの人はまだ眼を開かないけれど、炬燵の中から半身を開いて、傍に置いた海老鞘の刀を膝の上まで引寄せているのでありました。

その構えは、動かば斬らんという構えでありました。その面の色は、斬って血を見ようとする色でありました。

「ああ、ああ、あなた様も、やっぱり悪い人、神尾主膳の同類でござんしたか。ああ、わたくしはどうしたらようございましょう」

主膳に脅された時は、少なくとも抵抗するの気力がありました。またその人に追われた時も逃げる隙がありました。ひとりこの異様なる人の前にあっては、身の毛が竪立って動こうとしても動けないで、張り合おうとしても張り合えないで、戦慄するのみです。

この時、門外が噪がしく、多くの人がこの古屋敷へ来たらしくあります。

それは、乗物を持って神尾主膳を本邸から迎えに来たものでありました。酔い伏していた主膳は、その迎えを受けるや愴惶として、その乗物に乗って本邸へ帰ってしまいました。それでこの古屋敷は、主人を失って全く静寂に帰してしまいました。