Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども昨日までのお君を急に、お君の方に改めることは、屋敷のうちの格式ではよしそうであっても、なんとなくきまりが悪い。お君もまたその当座は、自分のことでないように思います。

お君の方は今、その花やかな打掛の姿で、片手には銚子を持って廊下を渡って行きました。少しばかり酔うているのか、その面は桜色にほのめいているばかりでなく、廊下を走るあしもとまでが乱れがちでありました。

廊下の庭から梅の枝ぶりの面白いのが、欄干を抜けて廊下の板の間まで手を伸ばしておりました。その面白い枝ぶりには、日当りのよいせいで、梅の花の蕾が一二輪、綻びかけています。

「ホホホ、もう梅が咲いている」

お君の方はたちどまって、手近な、その一枝を無雑作に折って、香いを鼻に押し当て、

「おお好い香り、ああ好い香い」

心のうちにときめく香りに、お君は自分ながら堪えられないように、

「殿様に差上げましょう、この香りの高い梅の花を」

お君はそれを銚子の間に挿し込んで歩みを移そうとした途端に、よろよろとよろめき、

「おや」

それはほろ酔いの人としては、あまりに仰山なよろめき方であります。打掛の裾が、廊下の床に出ている釘かなんぞにひっかかったものだろうと思って、片手に打掛を捌き、