Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

がんりきの百は神尾の屋敷を出た時に、青地錦の袋に入れた刀を背負っていました。

上弦の月が中空にかかっているのを後ろにして、スタスタと歩き出すと、

「もし百さん」

と言って塀の蔭から出たのは、女の姿であります。

「誰だい」

「わたしだよ」

「お角か」

「あい」

「何しにそんなところへ来てるんだ」

「お前さんが来るのを待っていたのだよ」

「家に待ってりゃあいいじゃないか」

「そうしていられないから出て来たんじゃないか」

傍へ寄って来たのは、女軽業の親方のお角であります。

「どうしたのだ」

「どうしたのじゃない、お前、またこのお邸へ入り込んだね」

「入っちゃ悪いか」

「悪いとも……だけれど、今はそんなことを言っていられる場合じゃない、手が入ったよお前。手が入ったから、あすこにはいられない、あすこへ帰ることもできない」

「そうか」

「これからどうするつもり」

「どうしようたって、どうかしなくちゃあ仕方がねえ、やっぱり逃げるんだな」

「どこへ逃げるの、わたしだって着のみ着のままで、ここまで抜けて来たのだから」

「だから、俺は俺で勝手に逃げるから、お前はお前で勝手に逃げろ」

「そんなことを言ったって……」