Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
前の日に七兵衛やがんりきが通って来たと同じ道、そこで馬場を見下ろした要害山の後ろから、帯名と棚山との間を越える甲府からの裏道に沿うて、しかし、それもなるべく路を通らないつもりで、山を分けて行くと、前を提灯が三つばかり行くのを見ました。
その提灯の通るところは、西山梨から東山梨へ出る間道であります。大方、こっちの方から今日の流鏑馬を見に来た土地の人が、夜になって大勢して通るのだろう。その人たちに見つけられたくもなし、その人たちも自分の姿を見たら驚くかも知れないから、やり過ごしてしまおうと兵馬は、またも暫らく木の蔭にかくれて、その提灯の通り過ぐるのを待っていました。
ほどなく自分の隠れている眼の前へ来た提灯は、初めに兵馬が見つけた時も、ただ提灯だけで人声がしませんでしたけれど、いま眼の前を通り過ぎる時も、やはり話の声がしないで甚だ静かなものであります。
淋しい山路を人数の勢いで通る時などは、つとめて大きな声で話をして景気をつけるのがあたりまえであります。ことにお祭の帰りであってみれば、盛んに土地訛の若い衆の声などが聞えなければならないはずなのを、提灯の数が三つもあるのに、さりとはあまりに静かな――と兵馬を不審がらせるほどに静かな一行であります。