Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
「長州には奇兵隊があり、薩摩には西郷吉之助のようなのがある、長州が本気で立てば薩摩が黙っていない、薩摩と長州とが手を握れば天下の事知るべし」
「面白くなるのだな」
「それは面白くなるにきまっているけれど、おたがいに籠の鳥だ」
「南条――」
ここで両人の話が暫らく途切れました。話が途切れると獄舎のうちは暗くありました。こちらの室では兵馬の寝息、あちらでは同じ室に、また幾人いるか知らん、鼾の声を立てているのさえあるが、それをほかにしては、いよいよ静かなものであります。
こちらの奇異なる武士は、いよいよ近く羽目の透間へ耳をつけた時に、
「南条――南条」
と向うから呼びましたが、
「手を出せ」
「うむ、うむ」
こちらの武士は、耳を着けていたところより一尺ばかり下の透間へ手を当てると、その透間からスーッと抜き取ったのは、柄のない一挺の鑢のようなものであります。
「これはどうしたのだ」
「今いう贋金遣いという男が、そっとおれにくれたのだ、同じやつがまだ一挺ある、鋸と鑿と小刀と三様に使える」
「エライものを手に入れたな」
「それこそ天の与え」
「有難い、有難い」
と言って、こちらの奇異なる武士は、その鑢を推戴きました。