Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
機械についていた職長がそれを見ると、周章てゝ走って行った。彼は工場の隅で立話を始めた。職工たちは仕事をしながら、それを横目でにらんだ。
仕上場の見張りの硝子戸の中から、「グレエン」職長が周章てゝ飛び出してきた。――金剛砥に金物をあてゝいた斉藤が、その直ぐ横の旋盤についていた職工から、何か紙片を受取って、それをポケットに入れた。それをひょッと見たからだった。神経が尖がっていた。――皆は何が起ったか、と思った。その「渡り職」の後を一斉に右向けをしたように見た。
――おいッ!
大きな手が斉藤の肩をつかんだ。然し振返った斉藤は落付ていた。
――何んですか?
ゆっくり云いながら、片手は素早くポケットの紙片をもみくしゃにして、靴の底で踏みにじっていた。
――あ、あッ、あッ、その紙だ!
職長がせきこんだ。
――紙?
砂地の床は水でしめっていた。斉藤は靴の先きで、紙片をいじりながら、
――どうしたんです。
――どうした? 太え野郎だ。
然しそれ以上職長にはどうにも出来なかった。「うらめし」そうに踏みにじられた紙片を見ながら、
――この野郎、とう/\誤魔化しやがった! 畜生め!