Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
二十一
五百の労働者の耳は、専務のたった一つの言葉を待っている。専務の味方をするものも、飛んでもない会合に出てしまったと思う職工たちも、こゝへくるともう同じだった。五百人の労働者はたった一つの呼吸しかしていなかった。
――………………。
誰か一番後で、カタッと靴の踵を下した音が聞えた。
――明日の時間後まで……。
波のようなどよめきが起ったと思った。次の瞬間には、食堂をうちから跳ね上げるような轟音になって「万歳」が叫ばれた。
彼はたゞ、眼に涙を一杯ためて、手をガッシリと胸に握り合せ、彼の方を見つめているお君を、人たちの肩越しにチラリと見たと思った……。
二十一
河田がどんなに待っているだろう。あの「二階」で河田は居ても立っても居られないで、待っているだろう。――だが、森本は一体今日のこの素晴しい出来栄えを、どういう風に、どこから話したらいゝか分らなかった。お君も同じだった。
二人は河田に情勢報告をし、専務の返答如何による対策をきめ、すぐ帰って、仲間の家で開かれる細胞集会に出なければならなかった。「二階」に上る前には、必ず二度程家の前を通って、様子を見てからにされていた。