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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme

Aozora Bunko

中

九

彼はそれをつかむと、階段を下りて、街へ出て行った。だが、彼の顔色がなかった。

中 九

――君ちァん、君ちァん。――キイ公オ!

二階の函詰場で、男工と女工がコンヴェイヤーの両側に向い合って、空罐を箱詰めにしていた。パッキングされた函は、二階からエスカレーターに乗って、運河の岸壁に横付けにされている船に、そのまゝ荷役が出来る。――昼近くになって、罐が切れた。皆が手拭で身体の埃を払いながら、薄暗い階段を下りて行った時だった。暗い口を開らいている「製品倉庫」のなかから、低くひそめた声が呼んでいる。前掛けはしめ直していたお君が「クスッ」と笑って、――急いで四囲を見た。だまっていた。

――キイ公、じらすなよ!

お君はもう一度クッと笑って、倉庫の中へ身体を跳ねらした。

――ア、暗い。

ワザと上わずった声を出して、両手で眼を覆った。居ない、居ないをしているように。

――こっちだ。

男の手が肩にかゝった。

――いや。

女が身体をひいた。

――何が「いや」だって。手ば除けれよ。

――…………。

お君は男の胸を直接に感じながら、身体をいや/\させた。

――手ば取れッたら。